生成AI PoCの本番移行チェックリスト|Go/No-Goを決める35項目
生成AIのPoCが動いたあと、最も難しいのは「本番へ進めてよいか」を決めることです。
デモが成功した、回答精度が高かった、利用者の反応がよかった。それだけでは本番化の判断材料として足りません。本番では、業務価値だけでなく、失敗時の影響、参照データ、権限、監視、費用、責任分界まで同時に成立させる必要があります。
このページは、生成AI PoCをGo / 条件付きGo / No-Goのどれにするかを、会議でそのまま確認できる35項目に落とした実務用チェックリストです。
詳しい背景を先に読みたい場合は「生成AIのPoCが本番導入で止まる7つの理由」を参照してください。このページでは説明より判定を優先します。
使い方
各項目を ○ / △ / × で評価します。
- ○:根拠と担当があり、本番運用できる
- △:条件または期限付きで解消できる
- ×:本番前に解消が必要
重大事故につながる項目に×が1つでもある場合、総合点だけでGoにしないことが重要です。
1. 業務価値
- [ ] 対象ユーザーと対象業務が明確である
- [ ] 現行業務の時間・コスト・品質を基準値として持っている
- [ ] AI導入後に改善させるKPIを1〜3個に絞っている
- [ ] AIを使わない代替案と比較している
- [ ] PoCの成功条件ではなく、本番の成功条件を定義している
2. 回答品質・評価
- [ ] 代表ケースだけでなく失敗しやすい境界ケースを評価している
- [ ] 正答率以外に、重大誤答の種類と件数を把握している
- [ ] 出典が必要な業務では、回答と根拠を追跡できる
- [ ] モデルやプロンプト変更後に同じ評価を再実行できる
- [ ] 人が最終確認すべき回答範囲を決めている
3. 安全性・責任
- [ ] AIが実行してよい操作と禁止操作を明文化している
- [ ] 誤回答・誤操作時に止める方法がある
- [ ] 最終的な業務責任者が決まっている
- [ ] インシデントの報告先と初動手順がある
- [ ] 高リスク判断をAIだけで確定させない設計になっている
4. データ
- [ ] AIが参照してよい情報源を限定している
- [ ] 古い文書・重複文書を識別できる
- [ ] 情報ごとの更新責任者または更新ルールがある
- [ ] アクセス権を無視して検索・回答しない
- [ ] 参照データ更新後に再評価する手順がある
5. 権限・セキュリティ
- [ ] 最小権限で接続している
- [ ] read / create / update / delete / send 等の操作権限を分けている
- [ ] 秘密情報や認証情報をプロンプト・ログへ残さない
- [ ] 外部サービスへ送信されるデータ範囲を把握している
- [ ] 退職・異動・権限変更時にアクセスを止められる
6. 運用
- [ ] 誰が日常監視するか決まっている
- [ ] モデル・API・料金・仕様変更を検知する方法がある
- [ ] 障害時にAIなしの業務へ戻せる
- [ ] ログから「誰が・いつ・何をしたか」を追跡できる
- [ ] 本番後の品質を定期的に再評価する
7. コスト・継続性
- [ ] 1回・1ユーザー・1業務あたりの費用を把握している
- [ ] 利用量が増えた場合の月額上限を試算している
- [ ] 人による確認・運用コストも含めている
- [ ] ベンダーやモデル変更時の移行難易度を把握している
- [ ] 効果が出ない場合の停止条件を決めている
Go / No-Go判定
Go
重大項目に×がなく、残った△に担当・期限・検証方法がある状態です。
条件付きGo
限定ユーザー、限定データ、read-onlyなど、事故範囲を明確に小さくしたうえで本番相当の利用を始めます。△を放置したまま対象だけ拡大しないことが条件です。
No-Go
次のいずれかが未解決なら、原則として本番化を急ぐべきではありません。
- 責任者がいない
- 機密情報のアクセス制御ができない
- 重大誤答を検知・停止できない
- 本番効果を測るKPIがない
- 障害時に業務を戻せない
会議で最後に確認する5問
- このAIが間違えたとき、最大で何が起きるか?
- その事故を誰が検知し、誰が止めるか?
- 本番化で改善する業務KPIは何か?
- 3か月後に続ける/止めるを何で判断するか?
- AIを使わない方法より本当に優れているか?
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このチェックリストは、AIの性能を採点するためではなく、業務として本番運用できる状態かを確認するためのものです。PoCの完成度を上げ続けるより、責任・データ・権限・運用・停止条件を明確にするほうが、本番移行の判断は速くなります。



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